一般社団法人と資本金

一般社団法人と資本金

一般社団法人の基金制度

一般社団法人をつくろうと思ったときに、気になることの一つが資本金に関することだと思います。

一般社団法人を設立するためには、どのくらいの資本金が必要なのでしょうか。

 

資本金はゼロ円でもよい

結論から言うと、株式会社を設立するときには必要な資本金は、一般社団法人の場合、ゼロ円からでも大丈夫です。

設立の際に、資本金などの財産を拠出しなければならない、ということはありません。

そもそも、厳密にいえば、一般社団法人の場合、「資本金」という制度はありません。

そのかわり「基金」という仕組みがあります。

これは一見、株式会社の資本金と似ているようですが、異なる性質をもちます。

基金制度を利用するかどうかは、各法人が自由に決めることができます。

繰り返しになりますが必ずこの制度を用いてお金を集めなければ一般社団法人を設立できない、というわけではありません。

設立時の資本がゼロでも一般社団法人を設立することはできます。

この点が、資本金がなければ設立できない株式会社との違いです。

 

一般社団法人の基金の特徴

法人の運営資金にするため、あるいは特定の事業計画を実行するため、などなど、用途も様々です。

資本金がゼロ円で作れるといっても、運営や事業の継続にはお金が要りますので、活動のための資金を集める方法がこの基金制度です。

設立したばかりのときの運営資金の足しに使う、新事業を展開するときの資金にする、など各法人が、いつ・どのように基金制度を活用するかを決めることができます。

一般社団法人ならではのメリットではないでしょうか。

集めることができる金額の上限も決められていません。

集めた金額は法務局で登記されませんが、公告義務のある賃貸対照表の純資産の部に、その総額を記載しなければなりません。

「基金」というと金銭のイメージですが、集める財産は動産・不動産どちらでも大丈夫です。

ご参考までに、一般社団法人に関する法律である、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(一般社団・財団法人法)では、基金の特徴について、以下のように述べられています。

1.経理処理については、基金の総額及び代替基金は、貸借対照表の純資産の部(純資産を示す適当な名称を示したものを含みます。)に計上しなければならない(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則31条)。

2.基金の返還は、拠出額(金銭以外の財産が拠出されたときは、拠出時の評価額)を限度とし、かつ、基金の返還に係る債権には利息を付すことができない(一般社団・財団法人法131条、143条)。

3.一般社団法人が破産手続開始の決定を受けた場合においては、基金の返還に係る債権は、破産法第99条第1項に規定する劣後的破産債権及び同条第2項に規定する約定劣後破産債権に後れる(一般社団・財団法人法145条)。

ただし、基金制度を新たに採用する際には、社員総会を経て、定款に定める必要があります。

一般社団法人を設立する際に、基金制度を使用することを予定していれば、定款をつくる際に一緒に盛り込むこともあります。

一般社団法人を設立した後、既存の定款に基金制度のことが書かれていなくて、基金を集めたい、という場合には新たに追加する必要があります。

基金制度を採用することを明記し、基金の募集要項や返済手続きなどを定款に追記することで、初めてこの制度を利用することができるようになります。

少し細かくいうと、定款に「基金を引き受ける者の募集をすることができる旨」、「基金の拠出者の権利に関する規定」、「基金の返還の手続」の3つを書き込む必要があります。(一般社団・財団法人法131条)

設立の際、初めから定款に書いてしまえば、後から追加する必要はありませんが、一度定款に定めると、廃止することはできないのでご注意ください。

この基金へ財産を拠出するのは、一般社団法人を構成する社員でも、社員以外の個人・法人でも構いません。

ただ、その一般社団法人の会員である人・団体や、第三者が基金に協力しても、社員になることができる、ということはありません。

基金への出資者とその一般社団法人内の地位とは何も関係ありません。

この点も、資本金の出資者が株主となり、会社の経営に関わる株式会社との違いです。

基金に拠出できるか否かと、拠出者の法人内の地位とは何も関係がないということです。

 

基金の返還義務

基金の拠出を受けた一般社団法人は、解散時に集めた基金の返済義務があります。

これも、株主へ利潤が配当される株式会社の資本金とは大きく異なるポイントです。

返還に関しては、財産の拠出者と法人の間で返還に関する条件などを定め、両者が契約を結ぶ形になります。

基金制度を利用してお金を集めても、完全に法人の財産となるわけではないことに注意が必要です。

金銭以外の財産が拠出された場合には、拠出された時点の評価額が返済額となります。

拠出された額が返還する必要のある最大の額になるため、利息をつけて返済することはできません。

また、破産手続開始の決定を受けたとき、拠出者において約定劣後破産債権に後れることとされています。

これらのことから、一般社団法人の基金は、資本金の一種というよりも、「債務」として考えられます。

もし拠出した人と基金を受けた一般社団法人との間で、返済しなくてよいという合意に達すれば、返済義務はなくなります。

ただし、基金が債務の性格を持つため、返済しなくてよくなった場合でも、「債務免除益」として、法人税の課税所得の対象にはなります。

少し細かい話も書いたので、最後にまとめをして終わります。

・一般社団法人の資本金はゼロ円でもよい

・基金という、一般社団法人の運営などに必要な資金を集める制度がある

・基金は、一般社団法人の社員からも、社員でない人からも集めることができるが、解散時に返還義務があり、「債務」の性質も併せ持つ

・基金制度を導入する際には、定款にその旨を定める必要がある

 

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