一般社団法人とNPO法人の比較

一般社団法人とNPO法人では「非利益(利益を分配できない)」という点では共通しています。

また、一般社団法人と比べて資金は少なくても可能ですが、ルールが多く設立のハードルが高いのがNPO法人です。

以下の表で詳しく見ていきましょう。

 

(1)一般社団法人とNPO法人の違い早見表

一般社団法人NPO法人
活動非営利活動
知名度NPO法人よりはなじみがないほぼ一般に知られている
設立費用約11万円0円
設立期間2~4週間4~6カ月
事業内容適法であれば制限なし20分野の活動に限られる
設立に必要な人最低2人最低10人
書類作成の難易度低い書類も多く、高難易度
社員の入会制限任意で設けることができる設けてはならない
所轄庁への報告義務年次報告などは特になし毎年、提出書類あり
登記変更時の費用変更の度に費用発生特に発生なし

 

(2)知名度

NPO法人

NPO法人の場合は、1998年に施行されて以来、10年以上の年月が経ち、約48,000ほどの団体があり、「NPO法人=社会貢献の団体」というイメージも定着してきています。

一部では、「NPO」=ボランティアという誤解もあるのですが、NPO法人の名前自体を聞いたことがないという人は少ないかと思います。

 

一般社団法人

一方、一般社団法人はNPO法人よりも新しく、なじみがない方が多いです。

一般社団法人という名前を聞いてどんな印象を持つのか、一時いろんな人に聞いてみたときがありました。

その結果、

「社団と聞いてなんかいいことしてそうな、すごい団体と思った人」

「聞いたことがないからイメージもわかないし、ちょっと怪しそう」

と答える人と意見が分かれました。

ただ、いいイメージを持っている人も多いのも事実ですし、企業もサービスの相談窓口として一般社団法人を設立するとか、ライセンス・資格の認定などいわゆる家元制度のようなビジネスモデルをお考えのところに一般社団法人を設立する動きも増えてきています。

 

(3) 設立費用のちがい

一般社団法人の場合

設立までを大まかに説明しますと、まず定款をつくり、公証役場で認証して受け取り、法務局で登記申請という形になりますが、この金額は、紙の定款の場合も、電子定款の場合も変わりません。

<公証役場での定款認証>

手数料⇒5万円
定款の謄本作成代⇒概ね認証2千円~3千円

<法務局への登記申請>

登録免許税⇒6万円

 

NPO法人の場合

NPO法人の場合は定款認証や登録免許税などの費用はかかりません。

 

一般社団法人、NPO法人のどちらにも必要な費用

・代表者印の作成⇒数千円~(販売店や印鑑の質などにより異なります)
・登記簿謄本取得代⇒600円(1通)
・印鑑証明書取得代⇒450円(1通)

 

(4)設立期間

それぞれの準備度合いによっても違うので一概に言えませんが、

一般社団法人:2~4週間

NPO法人:4~6か月

となります。

なぜこれほどに設立期間が違うのかというと、NPO法人の場合はまず所轄庁(各都道府県)に書類を申請します。

問題個所があれば所轄庁から修正指示が出るため、修正して再度申請…を繰り返すこともあります。

その後は所轄庁が縦覧する期間が約1ヶ月あり、設立認証申請書を提出して約2ヶ月で審査が行われ、認証されてから法務局で登記申請となります。

このようにNPO法人の設立は、書類作成期間も含め、概ね半年かかる場合が多いです。

設立期間の長さも、NPO法人設立はハードルが高い理由のひとつです。

 

(5)事業内容によるちがい

一般社団法人は基本的に自由に事業ができます。

NPO法人は「特定非営利活動促進法」で定められている特定非営利活動しか行うことができません。

特定非営利活動とは、法律で定められた下記の20分野です。

1.保健、医療又は福祉の増進を図る活動
2. 社会教育の推進を図る活動
3. まちづくりの推進を図る活動
4. 観光の振興を図る活動
5. 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
6. 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
7. 環境の保全を図る活動
8. 災害救援活動
9. 地域安全活動
10. 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
11. 国際協力の活動
12. 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
13. 子どもの健全育成を図る活動
14. 情報化社会の発展を図る活動
15. 科学技術の振興を図る活動
16. 経済活動の活性化を図る活動
17. 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
18. 消費者の保護を図る活動
19. 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡助言又は援助の活動
20. 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市が条例で定める活動

 

(6)設立に必要な人のちがい

一般社団法人

社員2名以上

役員:理事1名以上

 

NPO法人

社員10名以上

役員:理事3名以上、監事1名以上

※社員は役員(理事・監事)を兼ねることができます。

NPO法人設立の相談者が、一般社団法人設立に変更される理由で最も多いのが、この「人数がそろえられない」ということです(統計ではなく、私の感覚ですが)。

起業時に10名の仲間を集めるのが難しいため、最低2名からスタートできる一般社団法人を選ばれます。

また、NPO法人の役員(理事と監事)は、配偶者と3親等以内の親族が、役員の総数の3分の1以上含まれていてはいけません。

役員総数が5名以下の場合は1名も含むことはできないので、最低限の理事3名・監事1名の場合は親族等を含むことができません。

役員総数が6名以上の場合、理事・監事それぞれ1名のみ、親族等を含むことが可能です。

一般社団法人よりNPO法人の方がより公益性の高さを求められますので、法人化の条件が厳しくなっています。

 

(7)書類作成の難易度

NPO法人

書類の量も多く難易度も高いです。

特に、

「設立趣旨書」「事業計画書」「収支予算書」

の3つが大変で、初めて起業する方は、収支予算書で苦労されています。

一般社団法人

一般社団法人の設立書類には、上の3つがありませんので、比べると一般社団法人の方が難易度は低いです。

だからと言って事業計画を作らなくてもいいというわけではなく、起業時にはきちんと事業計画を作成してください。

その辺の相談にも対応させていただいております。

 

(8)社員の入会制限

一般社団法人

一般社団法人の場合は、そのような規定がないため、

「○○の資格を有する者」

「代表理事の許可が必要」

というような入会制限を設けることができます。

自分の信頼できる人しか議決権を持って欲しくないなど、議決権を持つ人を選びたい場合には、一般社団法人を選んでください。

 

NPO法人

NPO法人の場合は、設立趣旨や活動目的に賛同する個人・法人等の入会を妨げることはできません。

「この人嫌い」

「この人合わない」

といった理由で入会を拒むことができないということです。

 

(9)所轄庁への報告義務

NPO法人の場合は東京の場合は東京都や内閣府と呼ばれる所轄庁に、毎年、事業報告書類等の提出する必要があります。

また、定款変更や役員の変更などもするたびに報告書類を提出したり、認証を受けたり、半年がかりで準備する必要があるものもあります。

 

ところが、一般社団法人の場合は、そのような報告義務はありません。

そういう報告義務が面倒と感じるのであれば、一般社団法人を選ばれるといいかと思います。

 

(10)登記変更時の費用

NPO法人の場合、設立後、役員変更などの登記変更事情が生じても費用がかかりません。

一方、一般社団法人の場合は下記のようになります。

・事業所住所の変更⇒3万円(別の管轄地へ移転の場合、旧管轄地と新管轄地へ3万円ずつとなり、計6万円)

・役員の変更(役員、役員辞任、代表理事のアドレス変更)⇒各1万円

・名称変更、目的変更等の変更⇒各3万円

 

まとめ  一般社団法人とNPO法人のちがい

全体を通して、費用の負担面ではNPO法人の方が(補助金等もNPO法人の方が利用できるものです)、必要人数や書類の多い作成面では一般社団の方が、設立しやすいように感じますされるかもしれません。

しかし、大切なのは「設立後にどういう活動をしたか」です。

あなたの活動内容をお聞かせいただければ、あなたに適切な法人格のアドバイスをさせていただきます。

法人格を何にしようかお悩みの方は、まずは、設立事前相談にお申し込みください。

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