一般社団法人と一般財団法人の違いとは?
一般社団法人と一般財団法人は、名前も少し似ていて、どっちがどのようなものなのか、はっきり区別がつきにくいと思います。
まず結論から言うと、
人の集まりに対しての法人格が、一般社団法人。
人が集まって活動したり、サービスを提供したりします。
それに対して、
お金の集まりに対しての法人格が、一般財団法人。
人がお金を持って集まって、そのお金を運用した活動をしています。
です。以下で詳しく見ていきましょう。
一般社団法人と一般財団法人の違い早見表
一般社団法人 | 一般財団法人 | |
設立時の基礎財産 | 不要 | 300万円以上 |
設立時に必要な人数 | 最低2人 | 最低7人 |
定款に必要な項目数 | 7項目 | 10項目 |
設立時の基礎財産
一般社団法人の場合
一般社団法人は、社員による事業のために設立されるので、設立時にいくら資金がないといけない、という決まりはありません。
ただし、設立には、定款認証時が約5万円、登録免許税が6万円で、約11万円は費用がかかります。
”資金は必要ないが、設立費用はかかる。”
ここで、「社員」という言葉で誤解をされる方がいます。
一般的に「社員」というと会社の従業員をイメージされる方が多いかもしれません。
しかし、ここでいう「社員」とは、総会で議決権を有する会員(=出資者)のことをさします。
会社で言う「株主」の方がイメージ的には近いかもしれません。
「正会員」という呼ばれ方をすることもあります。
職員や従業員のことではありません。
社員は役員(理事・監事)を兼ねることができます。
一般財団法人の場合
一方、一般財団の場合、設立時に300万円以上の財産が必要です。
財産というのは、不動産と動産の両方が含まれます。
不動産の場合は、価値が300万円以上でなければいけないことになります。
そもそも一般財団法人は、
このお金や資産を、ある目的の下に運用するためにつくられる法人のため、
設立時に300万円以上集めなければならない、という少し高いハードルがあります。
集められた財産に対して法人格が与えられる、ともいえます。
加えて一般財団法人と同様に、設立には、定款認証時が約5万円、登録免許税が6万円で、約11万円は費用がかかります。
設立時に必要な人数
一般社団法人の場合
一般社団法人の場合、社員2名以上、理事1名以上いれば設立できます。
さらに、2名の社員のうち1名が理事を兼ねることができるため、実質最低2人いれば、一般社団法人を立ち上げることができるのです。
最低2人いれば起業でき、人数を集めるのにあまり苦労しなくて済む点は、一般社団法人のメリットではないでしょうか。
一般財団法人の場合
一般財団の場合、設立人1名、理事3名、評議員3名、監事1名が必要で、設立者が理事などの役職にもつけるため、最低7名必要ということになります。
一般社団の2名と比べると、必要とする人数の面では、一般財団を設立する条件が厳しいといえます。
評議員という役職は一般社団にはないものですが、財団法人の運営を監査する立場のようなものになります。
定款に書かなければならないこと
一般社団法人と一般財団法人とでは、定款に記す内容も少し違ってきます。
定款に書かなければならないこととして、絶対に書かなければならない絶対的記載事項と、該当する決まりがあるなら記載する必要がある相対的記載事項があります。
ここでは、絶対的記載事項の一覧を比較したいと思います。
一般社団法人の定款に記載しなければならないこと
- 目的
- 名称
- 主たる事務所の所在地
- 設立時社員の氏名又は名称及び住所
- 社員の資格得喪に関する規定
- 公告方法
- 事業年度
一般財団法人の定款に記載しなければならないこと
- 目的
- 名称
- 主たる事務所の所在地
- 設立者の氏名又は名称及び住所
- 設立に際して各設立者が拠出をする財産及びその価額
- 設立時評議員,設立時理事及び設立時監事の選任に関する事項
- 設立時会計監査人の選任に関する事項(会計監査人設置法人である場合)
- 評議員の選任及び解任の方法
- 公告方法
- 事業年度
このように、組織の構成要素(役職の名前、働き)が違うため、要求される項目が変わってきます。
いかがでしたでしょうか?
言葉が似ていて違いが分かりにくい「一般社団法人」と「一般財団法人」ですが、いくつか相違点があります。
一般社団法人や一般財団法人が気になったら、どちらがよいか検討してみてください。