「会員規約(会員のルールブック)を作りたいけど、何から始めればいいかわからない」 「ひな形はあるけど、どこをカスタマイズすればいいの?」 そんな悩みをお持ちの方へ。
当事務所では200法人以上の一般社団法人設立をサポートし、会員規約の作成も数多く手がけてきました。 この記事では、会員規約作成の手順から、各条項の解説、よくある失敗例まで、初心者の方でもわかるように解説します。
用語ミニ解説 ・定款(法人の憲法/基本ルール):法人の根っこ(大枠) ・会員規約(会員のルールブック/約束事):運用の細則(トラブル予防のための具体ルール) ・社員(法人の株主のような存在/議決権を持つ会員):法律上の「最終決定権者」
会員規約とは?定款との違いを理解しよう
会員規約の定義
会員規約(会員のルールブック)とは、会員の入会・退会、会費、権利義務、除名手続きなど、会員と法人の間で起こりやすい論点を”先に言語化しておく”ためのルールです。
ポイントは「会員規約は、会員と法人の約束事」だということ。ひな形を置くだけで安心…ではなく、あなたの事業モデル(資格認定、講座、コミュニティ、業界団体など)に合わせてトラブルが起こる場所を先回りして潰すのが役割です。
会員制を運営していると、「会費を払わない人が出たら?」「会員同士で揉めたら?」「天災や中止があったら返金は?」といった”揉めポイント”が必ず出ます。会員規約があれば「規約の第○条に基づき対応します」と明確に答えられます。
実際の相談では、「運営を始めてから揉めて、後から規約を作り直したい」という声をよく聞きます。既存会員がいる状態で規約を厳しくすると反発が出やすいため、設立時または会員を集める前に整えるのが理想的です。
定款と会員規約の違い(比較表)
「定款(法人の憲法)」と「会員規約(会員のルールブック)」は、役割が違います。ざっくり言うと、定款=骨格、会員規約=筋肉です。
| 項目 | 定款(法人の憲法) | 会員規約(会員のルールブック) |
|---|---|---|
| 位置づけ | 法人の基本ルール | 会員運用の具体ルール |
| 例 | 目的、機関設計、社員(議決権者)の資格の得喪など | 入会申込の方法、会費の支払方法、返金、除名手続の詳細 |
| 変更の重さ | 原則として社員総会での決議などが必要になりやすい | 理事会承認で変更する運用も設計しやすい(※定款との整合は必須) |
| 書き方 | 抽象度が高い(大枠) | 現場で使える具体性(期限・方法・例外) |
定款は「社員(議決権を持つ会員)は正会員とする」という大枠を定め、会員規約は「正会員になるには、申込書を提出し、理事会の承認を得て、入会金3万円と年会費1万円を納入する」という具体的な手続きを定めます。
※定款の基本は、先に「定款の作り方(法人の憲法の作成手順)」も押さえるとスムーズです。
会員規約が必要な理由
会員規約がないと、運営が”その場の判断”になりがちです。すると、同じケースでも対応がブレて「前は返金したのに今回はしないの?」と不満が生まれます。
逆に会員規約があると、対応の一貫性=公平感が出ます。会員が増えるほど、会員規約は「守るための武器」になります。特に会員数が30名を超えたあたりから、規約の重要性が急激に高まります。
会員規約作成の5つのステップ
STEP1:会員の種類を決める
まず決めるのは、会員の種類です。ここで重要なのが会員と社員の関係。一般社団法人法(一般社団法人のルールを定めた法律)上の社員=議決権を持つ会員(法人の株主のような存在)です。
つまり、あなたが「正会員(議決権を持つ会員)」を置くなら、その正会員が社員になる設計が多いです。
図解(テキストフローチャート)会員種別の決め方(超ざっくり)
①法人の重要事項を"投票"させたい?(議決権)
├ YES → 正会員(=社員) を置く
└ NO → 次へ
②主に応援・協賛が目的?
├ YES → 賛助会員(応援する会員)
└ NO → 次へ
③サービス利用・コミュニティ参加が目的?
├ YES → 一般会員(特典中心)
└ NO → 準会員/名誉会員など(例外枠)この設計が固まると、次の会費設計が一気に楽になります。会員制度設計の考え方は「一般社団法人の設立方法を完全解説」とセットで読むと理解が早いです。
実際の相談では、「正会員を増やすべきか、限定すべきか」で悩まれる方が多いです。目安としては、設立メンバーや理事候補など、法人運営に深く関わる人を正会員とし、サービス利用が中心の人は一般会員とする設計が、運営の安定性と柔軟性のバランスが取りやすいです。
STEP2:会費を設定する
会費は「入会金(会員になるときに1回だけ支払うお金)」と「年会費(会員を続けるために毎年支払うお金)」に分けて考えると整理できます。
ここで必ず決めるのが、返金の可否。返金ルールが曖昧だと、後述の失敗事例のように炎上しやすいです(特に講座・イベント系)。
会費設定のポイントは、「年間の運営コスト÷目標会員数」で算出すること。例えば、年間の固定費が120万円で目標会員数が100名なら、1人あたり年間1.2万円必要です。ここから決済手数料(3-5%)や未払いリスク(5-10%)を見込むと、年会費は1.5万円程度に設定する必要があります。
STEP3:ひな形をカスタマイズする
ひな形は便利ですが、そのまま貼ると事故ります。最低限、次をあなたの団体仕様に合わせます。
- 会員種別の定義(議決権の有無)
- 会費額、支払方法、支払期限、未払い対応
- 退会の方法(いつまでに何を出すか)
- 除名(除名=強制的にやめさせる)の要件と手続
- 反社会的勢力の排除(会員ビジネスではほぼ必須)
特に重要なのは、(1)会費と返金ルール、(2)除名の要件、(3)弁明機会の保証、の3点です。ここが曖昧だと、トラブルの9割はここから発生します。
STEP4:理事会で承認を得る
理事会(法人の経営陣/運営を決める会議)がある設計なら、会員規約は理事会で承認して運用開始にします。承認後は議事録に記録し、施行日を決定します。
※定款に「会員規約は理事会で定める」などの位置づけがあると、運用が安定します(後述)。
STEP5:会員に公開する
最後に「いつ、どこで、どう見せるか」を決めます。おすすめは、
- 入会申込フォームの直前にリンク掲示
- 会員マイページに常時掲載
- PDF化して改定履歴を残す
この”見える化”が、トラブル時の最大の防波堤になります。「会員規約を読んだ上で申し込みます」というチェックボックスを入会フォームに設置すると、「規約を知らなかった」という主張を防げます。
会員規約に必須の10条項
ここは丸暗記ではなく、「なぜ必要か」で押さえるのがコツです。
①目的(なぜこの条項が必要か)
会員規約の目的は「会員と法人の約束事を明確にし、運営を円滑にする」こと。目的条項があると、解釈がぶれた時に立ち返れます。
②会員の定義と種類
正会員、賛助会員、一般会員、準会員など、名称より中身が大事です。特に「正会員=議決権(投票する権利)あり」にするなら、法律上の社員(議決権を持つ会員)との整合を必ず取ります。
比較表:正会員と賛助会員(代表例)
| 項目 | 正会員(議決権を持つ会員) | 賛助会員(応援する会員) |
|---|---|---|
| 議決権 | あり(=社員になりやすい) | なし |
| 主な役割 | 法人運営に参加 | 資金・活動を支援 |
| 典型的な特典 | 総会参加・投票 | 情報提供、イベント割引など |
③入会手続き
「申込方法」「必要情報」「入会成立時期(いつから会員か)」を具体化します。例:申込書提出→理事会承認→入会金・年会費入金→会員登録完了、など。
「いつから会員か」が曖昧だと、「サービスを受けられるのはいつからか」「会費はいつまでに払えばいいのか」で揉めます。入会成立時期を「入金確認日」と明確にしておけば、トラブルを防げます。
④会費
金額だけでなく、支払期限・支払方法・未払い時の措置まで書くのが実務です。未払いを放置すると、不公平感が出て”払う人が損”になります。
「会費の3ヶ月以上の滞納で会員資格を停止する」などの明確な基準を設けることで、未払いを防ぐ抑止力になります。
⑤退会・除名
退会(自分からやめる)のルールは「いつまでに」「どの方法で」を明確に。除名(強制退会)は、要件と手続を丁寧に。ここが雑だと無効主張されやすいです。
除名は、会員の権利を強制的に奪う重大な処分です。最低でも、(1)除名理由の通知、(2)弁明機会の付与、(3)理事会等での決議、(4)決定の通知、という4ステップは必須です。
⑥会員の権利
議決権の有無のほか、会員サービス(特典)を箇条書きにしすぎず、提供範囲と例外(中止・変更)を添えます。「提供するサービスは、法人の都合により変更・中止することがある」という例外規定を入れておけば、災害やコロナのような不測の事態でもトラブルを避けられます。
⑦会員の義務
会費支払い、規約遵守、迷惑行為の禁止、秘密保持(必要なら)など。トラブルは「義務が書いてない」より「書き方が弱い」ことで起きます。
「SNS等で法人や他の会員を誹謗中傷すること」「法人の秘密情報を第三者に漏洩すること」など、具体的に書くことで、「そんなつもりじゃなかった」という言い逃れを防げます。
⑧入会の承認・拒否
理事会承認とするのが一般的です。拒否事由は、差別にならない範囲で客観的に。例:虚偽申告、反社該当、過去の重大違反、会費未納歴など。
図解:入会の承認フロー(例)
申込(フォーム) → 事務局確認(必要情報) → 理事会審査 →
├ 承認:請求・入金確認 → 会員登録 → 開始
└ 不承認:理由の範囲内で通知(テンプレ化推奨)⑨反社会的勢力の排除
会員制ビジネスは、ここが抜けるとリスクが跳ね上がります。入会時だけでなく、入会後に判明した場合の措置(資格喪失・除名)もセットで。
会員に反社が含まれていると、法人全体の信用が失われ、取引停止や助成金の返還を求められる可能性があります。
⑩準拠法・管轄裁判所
揉めた時の”最終出口”です。遠方会員が多いなら、管轄は特に実務的な意味が出ます。「法人の主たる事務所所在地を管轄する裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする」と定めておけば、訴訟時の負担を軽減できます。
会員規約のひな形
カスタマイズのポイント
ひな形は”万能”ではありません。特に次の4点は、必ずあなたの団体仕様に変えてください。
- 会員種別(議決権の有無)
- 会費と返金ルール
- 除名の要件・手続(通知、弁明機会など)
- 定款(法人の憲法)との整合
【会員規約ひな形】(要カスタマイズ)
(目的)
第1条 本規約は、当法人の会員制度の運用に関し必要な事項を定める。
(会員の種別)
第2条 会員は次のとおりとする。
(1) 正会員:議決権(投票する権利)を有する会員
(2) 賛助会員:当法人の事業を賛助する会員(議決権なし)
(3) 一般会員:当法人所定のサービスを受ける会員(議決権なし)
(4) 準会員:入会手続中その他当法人が定める会員(議決権なし)
2 正会員は一般社団法人法上の社員(法人の株主のような存在)とする。
(入会)
第3条 入会希望者は当法人所定の方法で申込み、理事会の承認を得るものとする。
2 入会日は、原則として入会金・会費の入金確認日とする(別途定めがある場合を除く)。
(入会金・会費)
第4条 会員は別表の入会金(会員になるときに1回だけ支払うお金)および年会費(毎年支払うお金)を、当法人が定める方法・期限で納入する。
2 既納の会費等は、当法人に帰属し、原則として返還しない。ただし当法人が特に認めた場合はこの限りでない。
(会費未納)
第5条 会費を相当期間納入しない会員は、当法人の定める手続により会員資格を停止し、または資格を喪失させることができる。
(退会)
第6条 会員は、当法人所定の方法により退会(自分から会員をやめること)できる。
2 退会の効力発生日、返金の有無は第4条に従う。
(除名)
第7条 会員が次の各号のいずれかに該当する場合、理事会決議により除名(強制的に会員をやめさせること)できる。
(1) 本規約または定款(法人の憲法)に違反したとき
(2) 当法人の名誉を毀損し、または秩序を乱す行為があったとき
(3) その他除名すべき正当な事由があるとき
2 除名にあたっては、事前に通知し、弁明の機会を与える。
(会員資格の喪失)
第8条 会員は次の事由により会員資格を喪失する。
(1) 退会 (2) 除名 (3) 会費未納による喪失 (4) 死亡・解散 (5) その他当法人が定める事由
(会員の権利)
第9条 会員は、会員種別に応じて当法人所定のサービスを受けることができる。
2 正会員は社員総会(社員が集まって重要なことを決める会議)における議決権を有する。
(会員の義務)
第10条 会員は会費を納入し、本規約および当法人の定めるルールを遵守する。
(入会の拒否)
第11条 当法人は、申込者が次の各号に該当する場合、入会を承認しないことができる。
(1) 申込内容に虚偽があるとき (2) 反社会的勢力に該当するとき
(3) その他当法人が不適当と判断する相当の事由があるとき
(反社会的勢力の排除)
第12条 会員が反社会的勢力に該当すると判明した場合、当法人は事前通知なく資格を停止し、または除名できる。
(準拠法・合意管轄)
第13条 本規約は日本法に準拠し、当法人の主たる事務所所在地を管轄する裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
(改廃)
第14条 本規約の改廃は理事会の決議により行い、会員に周知する。会員の種類と設定方法
正会員とは(議決権あり)
正会員(議決権を持つ会員)は、法人の重要事項を投票で決める立場です。法律上は、社員(法人の株主のような存在)として扱われる設計が一般的。
正会員を増やしすぎると、社員総会(社員が集まって重要事項を決める会議)の調整が重くなります。一方、少なすぎると”特定の人に権限が集中する”ので、事業規模・関係者の距離感に合わせて設計します。
これまでの経験では、設立当初は5〜15名程度の正会員でスタートし、運営が安定してから段階的に増やすケースが多いです。
賛助会員とは(議決権なし)
賛助会員(応援する会員)は、議決権なしで支援してもらう枠です。協賛金に近い性質なので、特典を付けるなら「どこまで提供するか」を会員規約に書いておくと、後で揉めません。
「広告掲載」「イベント優先枠」など、提供できる範囲が変動しやすい特典ほど、”変更の可能性”も明記しておくのが実務です。
一般会員、準会員、名誉会員
一般会員は、サービス利用・コミュニティ参加が中心の枠に向きます。準会員は「審査中」「体験期間」など例外運用のための受け皿にできます。名誉会員を置くなら、会費免除や権利範囲を明確にしましょう。
会員種別の決め方(フローチャート)
図解:会員制度の設計(もう少し実務寄り)
①意思決定に参加させる人は誰? → 正会員(=社員)
②収益の柱はどれ?
・会費モデル → 一般会員を厚く、返金・未払いを厳密に
・協賛モデル → 賛助会員の特典設計を明確に
③将来揉めそうな相手はどこ?
・資格認定 → 「認定の停止/取消」など別規約(講師規約等)も検討
・コミュニティ → 迷惑行為・除名プロセスを具体化関連して、法人形態の比較は「一般社団法人と株式会社の違い」「一般社団法人とNPO法人の違い」も参考になります。
会費の設定方法
入会金の設定
入会金(1回だけ支払うお金)は、初期事務コスト(会員登録、教材発送、審査など)を回収する意味づけがしやすいです。入会金を取らない設計もありますが、退会・再入会が頻発するモデルでは、入会金が”歯止め”になります。
業界団体やコミュニティでは、入会金1万〜3万円が一般的です。資格認定や専門性の高い団体では、5万円以上の入会金を設定するケースもあります。
年会費の設定
年会費(毎年支払うお金)は、運営の固定費(事務局、システム、会報、イベント運営など)に合わせて決めます。
例:年会費1万円×100名=100万円。ここから決済手数料、発送費、会場費などが引かれます。提供する特典が増えるほど、年会費を”利益”として見積もると崩れます。まずコストを積み上げましょう。
会員の規模に応じた設定例
- 小規模(〜50名):年会費5,000〜12,000円(特典少なめ)
- 中規模(50〜300名):年会費12,000〜30,000円(イベント・教材あり)
- 大規模(300名〜):複数プラン化(一般/プレミアム/法人会員など)
会費の返還ルール(重要)
返金が揉めるのは、だいたいこの3パターンです。
- 会員都合の途中退会(「残り月分返して」)
- 法人都合のサービス変更・中止
- 災害等でイベントが中止
原則「返還しない」とするなら、その理由(事務コスト・運営費)を説明できる形にしておくと納得感が出ます。返金するなら、日割り/月割り、事務手数料、返金期限まで決めます。
実際の相談では、コロナ禍で「イベントが全て中止になったのに会費を返金しないのはおかしい」というクレームが多発しました。「法人都合の場合は返金する」という例外規定があれば、こうした事態にも柔軟に対応できます。
会費設計は、法人の収入源設計とも直結します。全体像は「一般社団法人のメリット・デメリット」もあわせてどうぞ。
会員規約作成でよくある失敗例と対策
失敗例1:定款との矛盾
「正会員に議決権あり」と会員規約に書いたのに、定款側で社員(議決権者)の扱いが曖昧…というケース。結果、社員総会の成立や決議がグラつきます。
対策:社員(議決権を持つ会員)の資格の得喪など、定款に置くべき”大枠”を先に固め、会員規約は”細則”に徹する。
具体例として、定款に「社員は○名以上」という人数制限があるのに、会員規約で正会員を増やしすぎて「誰が本当の社員なのか」が不明確になったケースがあります。定款で「社員は正会員とし、その資格の詳細は会員規約で定める」と明記すれば防げます。
失敗例2:会費返還のトラブル
講座・コミュニティで多いのが「入会直後に退会したい→返金して」の揉め。規約に「返還しない」がなく、SNSで炎上…も現実に起こります。
対策:返金可否、返金条件、例外(法人都合)を明文化し、入会前に見える場所へ。
あるオンラインコミュニティで、年会費2万円を払って入会した会員が、1週間後に「期待していた内容と違った」として退会と全額返金を要求し、対応を巡ってSNSで炎上したケースがあります。入会前に「入会後の返金は一切行いません」と明記し、体験期間を設けておけば防げました。
失敗例3:除名手続きの不備
除名(強制退会)条項はあるのに、通知や弁明機会がなく、手続面で争われるケース。
対策:除名理由+手続(通知→弁明→決議→通知)をセットで書く。
ある業界団体で、会員が誹謗中傷を繰り返したため除名を決議しましたが、本人に事前通知や弁明機会を与えずに除名したため、「不当な除名だ」と訴訟を起こされ、除名が無効と判断されたケースがあります。規約に「除名にあたっては、事前に理由を通知し、弁明の機会を与える」と明記し、実際に手続きを踏むことが不可欠です。
失敗例4:反社会的勢力の排除条項がない
後から反社リスクが判明しても、強制的に切れずに長期化することがあります。
対策:入会拒否事由+入会後の措置(資格喪失・除名)まで規定。
ある法人で、入会後に会員が反社会的勢力と関係があることが判明しましたが、会員規約に反社排除の条項がなかったため除名できず、金融機関から口座凍結の警告を受け、助成金の申請も却下される事態に発展しました。設立時から「反社会的勢力に該当する者は入会を認めない」「入会後に判明した場合は即座に資格を喪失させる」と規約に明記しておくことが必須です。
定款と会員規約の連携方法
定款に書くべきこと
定款(法人の憲法)は、法人の骨格です。特に会員制度で重要なのは、社員(議決権を持つ会員)の扱い。
実務感覚では、次は定款側に”必ず置く”発想が安全です。
- 社員(=議決権者)を誰にするか(正会員等)
- 社員の入退社・除名などの大枠
- 機関設計(理事会の有無、社員総会の権限)
定款そのものの作成手順は「定款の作り方(法人の憲法の作成手順)」を参照してください。
会員規約に書くべきこと
会員規約(会員のルールブック)は、運用ルールです。
- 入会申込の方法(フォーム/書面/審査)
- 会費の支払方法、期限、未払い対応、返金
- 会員サービスの範囲、変更・中止の扱い
- 除名手続の詳細(通知・弁明機会など)
- 公開方法、改定方法、周知方法
矛盾を防ぐチェックリスト
- ✅ 正会員=社員(議決権あり)になっているか
- ✅ 「入会承認の機関」(理事会/社員総会)がズレていないか
- ✅ 除名の決定機関が一致しているか
- ✅ 会費の位置づけ(返金・未払い)が規約内で完結しているか
定款と会員規約を作成したら、必ず両方を並べて読み合わせを行いましょう。特に、社員の資格、入退社、除名、機関(理事会・社員総会)の権限については、定款と会員規約で矛盾がないか、細心の注意を払います。
会員規約作成後の手続き
理事会での承認
理事会(法人の経営陣)があるなら、会員規約は理事会で承認し、議事録を残します。改定時も同様です。理事会がない設計の場合は、定款で決めた方法(社員総会決議など)に合わせます。
会員への公開方法
公開は”あとから言った言わない”を防ぐための必須作業です。おすすめは次の3点セット。
- 入会前に読める(申込導線に設置)
- 入会後も読める(会員ページ・PDF)
- 改定履歴を残す(施行日、改定日)
見直しのタイミング
見直しは「トラブルが起きた後」では遅いです。目安は、
- 会員数が大きく増えた
- プラン(会費)を追加・変更した
- オンライン化など提供方法が変わった
- 除名・未払いなど”例外対応”が発生した
このあたりで、半年〜1年に一度棚卸しすると安定します。設立全体の流れは「一般社団法人の設立要件」「一般社団法人の設立方法を完全解説」も参考に。
よくある質問(FAQ)
Q1. 会員規約は必須ですか?
法律上、会員規約という名称の文書が必須とは限りません。ただ、会員制を運営するなら、トラブル予防の観点で実質必須です。定款(法人の憲法)だけでは細かい運用が書き切れません。
Q2. 会員規約を途中で変更できますか?
できます。だからこそ、会員規約に「改廃(変更)の手続」を置き、理事会決議で変更→会員へ周知、という流れを作るのが定番です(定款との整合は必ず確認)。
不利益変更(会費値上げ、返金なしなど)の場合は、事前に十分な説明と周知期間(最低1ヶ月、できれば2〜3ヶ月)を設けましょう。
Q3. ひな形をそのまま使っていいですか?
おすすめしません。特に「議決権」「返金」「除名」は、団体ごとに揉め方が違うため、最低限のカスタマイズが必要です。
Q4. 専門家に依頼すべきですか?
会員数が増える見込みがある、資格認定・講師制度が絡む、法人会員がいる、などの場合は、最初に整えるほど後が楽です。定款(法人の憲法)との連携まで含めて点検できる専門家に相談すると安心です。
Q5. 会費を途中で変更できますか?
可能です。ただし「いつから適用」「既存会員への経過措置」「返金の扱い」を決めないと不満が出ます。変更の根拠と周知期間をセットで設計しましょう。
まとめ
会員規約(会員のルールブック)は、会員制ビジネスの”揉めポイント”を先回りして潰すための道具です。
作り方の要点は、(1)会員種別と社員(議決権者)を整理 → (2)会費と返金を明文化 → (3)除名・拒否・反社を固める → (4)定款(法人の憲法)と矛盾させない、の順番。
まずは本記事のひな形を叩き台に、あなたの団体用にカスタマイズしてみてください。関連して「一般社団法人と一般財団法人の違い」「非営利型一般社団法人の設立要件」も、設計の理解に役立ちます。
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