一般社団法人の定款について詳しく知りたい方、自分で定款を作成したい方に向けて作成しています。
当事務所では、これまで200法人以上の一般社団法人設立をサポートしてきました。この記事では、定款に必ず記載すべき7つの項目、よくある間違いまで、初心者の方でもわかるように解説します。
用語ミニ辞典(最初にここだけ)
・定款=法人のルールブック(法人の憲法)
・公証認証=公証役場で「この書類は本物です」というお墨付きをもらうこと
・絶対的記載事項=必ず書かなければならない7つの項目
・社員=従業員ではなく「会員」のこと/社員総会=会員が重要事項を決める会議
一般社団法人の定款とは?(定款=法人のルールブック)
定款の定義(法人の憲法)
一般社団法人の「定款(法人のルールブック/法人の憲法)」は、法人の目的・会員(社員)・役員・会議の開き方など、運営の基本ルールを決める文書です。設立時に作り、設立登記(法人の情報を法務局に正式に登録すること)まで進めるうえで必須になります。
株式会社の定款と似ていますが、一般社団法人では「出資」がない代わりに、会員(社員)制度の設計が重要になる点が異なります。
定款の重要性(設立後の運営に影響)
定款は「設立のための書類」でもありますが、もっと大事なのは設立後のトラブル予防です。
たとえば、会員(社員)の入退会ルールが曖昧だと「辞めたのに会費を払えと言われた」「除名されたのは不当だ」など揉めやすくなります。逆に、最初にルールを決めておけば、社員総会(会員が集まる会議)でも判断がブレません。
実際の相談でも、「定款を適当に作ってしまい、会員とのトラブルが起きた」というケースは少なくありません。定款は設立後も法人運営の「拠り所」になる文書なので、初期段階で丁寧に作ることが重要です。
自分で作成 vs 専門家に依頼
結論として、ひな形(テンプレ)をベースにすれば自分で作成は可能です。ただし、次のどれかに当てはまるなら、早めに専門家チェックを入れるのがおすすめです。
- 非営利型(税制上の優遇を受けられる法人)を狙っている
- 会員制度や代議員制度を入れて、人数が増える想定がある
- 許認可(例:介護・有料職業紹介など)が絡む
これらのケースでは、定款の一文が法的要件に直結するため、後で手戻りが発生しないよう、専門家の確認を入れることで時間とコストを節約できます。
※設立手続き全体の流れは、「一般社団法人の設立方法を完全解説」もあわせてどうぞ。
定款に必ず記載する7つの事項【絶対的記載事項】
絶対的記載事項(必ず書かなければならない7つの項目)は、抜けると定款が成立しません。まずここを「落とさない」のが最重要です。
1. 目的(事業内容)
目的は「何のための法人か」を示します。
ポイントは、抽象的すぎないこと。たとえば「社会貢献をする」だけだと、銀行口座・助成金・許認可で追加説明が必要になりがちです。
具体例:
- 「資格認定事業を通じて◯◯分野の人材育成を図る」
- 「会員向け研修・講座の実施により◯◯の普及を行う」
実際の相談では、「目的が広すぎて、銀行から事業内容の説明を求められた」という声をよく聞きます。事業の内容がイメージできる具体性を持たせることが大切です。
2. 名称(使える文字・使えない文字)
名称には必ず「一般社団法人」を入れます。英字も使えますが、記号の扱いなどで引っかかるケースがあります。
たとえば、「&」「®」「™」などの記号は登記に使えないことが多いので、ロゴと登記名を分けて考えるのが無難です。ひな形を使う場合も、最終的には登記で通る表記かを意識しましょう(不安なら法務局へ事前確認)。
3. 主たる事務所の所在地
「主たる事務所」は本店のようなものです。定款では通常、最小で市区町村までにしておき、住所変更の頻度が高い場合は細かく書きすぎないのが実務的です(細かく書くほど、移転のたびに手間が増えます)。
なぜなら、定款に番地まで書くと、同じ市区町村内での移転でも定款変更が必要になるからです。一方、市区町村までの記載にしておけば、詳細住所は登記で管理し、定款変更の手間を減らせます。
4. 設立時社員の氏名・住所
ここでいう社員=会員のこと(従業員ではありません)です。設立時社員は最低2名必要です(設立要件の全体像は「一般社団法人の設立要件」へ)。
設立時社員は、設立後の社員(会員)として法人に残ることが一般的ですが、設立のためだけに協力してもらい、設立後に退会することも可能です。
5. 社員の資格の得喪(入退会の規定)
入会条件、退会方法、除名(強制退会)をどうするか。ここが薄いと、あとで揉めます。
入会:申込→理事(社長のような役員)承認 など
退会:いつまでに届け出れば当月末退会か
除名:社員総会(会員の会議)の決議が必要、弁明の機会を与える など
実際の相談では、「除名手続きを定款に書いていなかったため、問題のある会員を退会させられない」というケースがあります。トラブルを未然に防ぐためにも、この項目は丁寧に設計しましょう。
6. 公告方法(官報/電子公告/掲示場)
公告は「公式なお知らせの出し方」です。定款に書いた方法でしか公告できません。
公告方法の比較表(迷う人が多いので整理します)
| 方法 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 官報 | 公的で標準的。手続きは比較的シンプル | 迷ったらこれ、という選択 |
| 電子公告 | 自社サイト等で公告。維持管理が必要 | Web運用が安定している法人 |
| 掲示場(事務所の見やすい場所) | 低コストだが、対外的説明が必要になりがち | 小規模で外部公告が少ない法人 |
7. 事業年度(決算月)
決算月です。繁忙期と重なると運営が大変になるので、税理士と相談して決めるのがおすすめです。
たとえば、3月決算にすると年度末の繁忙期と決算作業が重なります。会員ビジネスを展開する場合は、会費の更新時期と決算月をずらすことで、事務作業の負担を分散できます(「一般社団法人の設立費用」「一般社団法人の維持費の考え方」)。
定款に記載できる事項・記載してはいけない事項
ここからが「差がつく」ポイントです。定款には、必須以外にもいろいろ書けますが、種類があります。
相対的記載事項(書けば効力が発生する項目)
相対的記載事項(書けば効力が発生する項目/書かなくてもOK)は、書かないとその制度が使えないイメージです。例としては、
- 会員(社員)の除名の細かい手続き
- 理事会を置く/置かない(運営の意思決定ルート)
- 基金(返さなくていいお金に近いが、将来返還する可能性もある仕組み)の取り扱い
など、運営設計に関わるものが多いです。
たとえば、理事会を設置する場合、定款に「理事会を置く」と明記しないと、理事会の決議が法的に無効になる可能性があります。逆に、理事会を置かない場合は、すべての意思決定を社員総会で行うことになります。
実際の相談では、「理事会を置きたいのに、定款に書き忘れた」というケースがあります。後から追加する場合は定款変更手続きが必要になるため、設立時に決めておくことが重要です。
任意的記載事項(自由に書ける項目)
任意的記載事項(自由に書ける項目)は、法律に反しない限り自由です。
たとえば、会費の金額の決め方、役員報酬の決定手続き、委員会制度、オンライン社員総会の可否など、「うちはこうする」を明文化できます。
最近では、オンライン社員総会の規定を定款に入れるケースが増えています。コロナ禍以降、オンライン開催のニーズが高まったためです。定款に明記しておくことで、法的リスクを減らせます。
無益的記載事項(書いても無効)
無益的記載事項(書いても無効になる項目)は、代表例が剰余金配当(利益の分配)です。
一般社団法人は剰余金(収入から経費を引いた残りのお金=利益)を出してもOKですが、会員(社員)へ分配はできません。
NG例:「年度末の余剰金を正会員に分配する」→書いても無効。非営利型を狙うなら、むしろ要件違反で不利になります。
これは一般社団法人法で明確に禁止されているため、たとえ定款に書いても、その条項は無効になります。無効な条項があると、銀行口座開設や助成金申請で問題になることがあるので注意が必要です。
4分類を1枚で整理(比較表)
| 区分 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 絶対的記載事項 | 書かないと定款が成立しない | 目的、名称、公告方法など |
| 相対的記載事項 | 書くと効力が出る | 基金、理事会設置など |
| 任意的記載事項 | 自由に書ける | 会費の細則、委員会等 |
| 無益的記載事項 | 書いても無効 | 剰余金配当の規定など |
定款ひな形
ここでは「ひな形をどう使うか」を具体的に説明します。ひな形はコピペして終わりに見えますが、実際は「どこを自分用に直すか」が重要です。
非営利型の定款ひな形
非営利型(税制上の優遇を受けられる法人)を狙う場合は、定款の一文が要件に直結します。普通型のノリで書くと落とし穴が多いので、非営利型専用ひな形を使ってください(後述で「普通型との違い」を表で比較します)。
非営利型の要件は複雑で、特に「剰余金の分配禁止」「残余財産の帰属先」「役員の親族規定」など、定款の記載内容が税務要件に直結します。一文でも漏れると、税制優遇を受けられなくなる可能性があるため、専用ひな形の使用が安全です。
公証人連合会公式ひな形
日本公証人連合会が、一般社団法人の定款記載例(Word/PDF)を公開しています。規模別の例もあり、初稿づくりに便利です。
公式ひな形は基本的な内容をカバーしていますが、会員制度や非営利型の要件については、別途カスタマイズが必要になることが多いです。
ひな形のカスタマイズ方法(具体例)
ひな形を開いたら、まず次の4か所だけ集中して直すと失敗しにくいです。
- 目的:抽象→具体へ(事業メニューが想像できる粒度に)
- 会員(社員)の得喪:退会の締め日、除名手続き、会費未納の扱い
- 役員設計:理事(運営担当)・監事(チェック役)を置くか/理事会を置くか
- 公告方法・事業年度:運用できる選択肢にする
(定款サンプル例:抜粋)
第◯条(目的)
当法人は、◯◯の普及・人材育成を目的とし、その目的に資するため次の事業を行う。
(1)講座・研修の実施
(2)資格認定事業
(3)調査研究
(4)前各号に附帯関連する事業実際の相談では、「ひな形をそのままコピーして、後で困った」という声をよく聞きます。特に会員制度を導入する場合は、入退会のルールを具体的に書いておくことで、トラブルを未然に防げます。
【失敗例】定款作成でよくある4つの間違い
ここは実務で本当に多い「やり直しポイント」です。ひな形を使っても、ここで詰まります。
間違い1:非営利型の要件を満たしていない
非営利型は「税制上の優遇を受けられる法人」ですが、定款の要件を満たさないと普通型扱いになります。
特に多いのが、剰余金と残余財産(解散したときに残ったお金や資産)の書き方。非営利型(非営利性が徹底された法人)は、定款に「剰余金の分配を行わない」「残余財産は国等や一定の公益法人等に帰属」などが必要です。
「それっぽい文言」を入れたつもりでも、要件の言い回しがズレているとアウトになりやすいので、非営利型ひな形を使うのが安全です。
失敗例: ある法人では、「剰余金は分配しない」と定款に書いたものの、「ただし、社員の承認があれば分配できる」という但し書きを追加してしまい、非営利型の要件を満たせなくなったケースがあります。このような一文でも、要件違反になる可能性があるため注意が必要です。
間違い2:名称に使えない文字を使っている
たとえば、ロゴに使う記号をそのまま法人名に入れようとして、登記段階で止まるケースがあります。
「Webサイト上の表記」と「登記できる表記」は別物なので、登記名はシンプルにし、ロゴ表現は別で持つのが無難です。
実際の相談では、「『&』を法人名に入れたかったが、登記で使えないと言われた」というケースがありました。この場合、「アンド」とカタカナ表記にするか、記号を外すかの選択になります。
間違い3:許認可に必要な目的が記載されていない
介護、職業紹介、古物など、許認可が関係する事業では、目的に必要なキーワードが入っていないと後で困ります。
設立後に「目的が足りない」ことに気づくと、定款変更→登記変更…と手戻りが発生します。許認可予定があるなら、最初に行政窓口や専門家に確認してから目的を書きましょう。
具体例: 有料職業紹介事業を行う場合、定款の目的に「職業紹介事業」と明記する必要があります。「人材支援事業」だけでは不十分とされるケースが多いため、許認可申請前に確認することが重要です。
間違い4:定款作成日を未来日にしている(これ、意外と多い)
定款の最後には、作成日と設立時社員の記名押印を入れます。このとき、未来日(明日以降の日付)で作るのは避けてください。
実務上は「実際に作成し、署名(押印)した日」が基本です。予約している公証役場の認証日と混同して、未来日を入れてしまう方がいますが、整合性が崩れて差し戻しになりやすいポイントです。
目安としては、作成日→(予約)→認証日→登記申請日の順で、日付が自然に並ぶようにしましょう。
実際の相談では、「公証役場の予約日を定款作成日に書いてしまい、差し戻された」という声を聞きます。作成日は「実際に作った日」にし、認証日とは別にすることがポイントです。
非営利型の定款の作り方
非営利型(税制上の優遇を受けられる法人)は、ざっくり言うと「税法上、公益法人等に近い扱いになる一般社団法人」です。
そして非営利型には、実務上よく使われる2つの類型があります。
非営利型の2つの類型
非営利性が徹底された法人:剰余金分配なし、残余財産の帰属先も限定、など要件が明確
共益的活動を目的とする法人:会員に共通する利益のために、会費で活動するタイプ(同窓会・業界団体などのイメージ)
この2類型は、法人税法施行令で要件が整理されています。どちらを選ぶかは、法人の目的や収益構造によって決まります。
定款に記載すべき内容(非営利性が徹底された法人の典型)
非営利性が徹底された法人を狙うなら、定款に次を明確に入れます。
- 剰余金を分配しない
- 解散時の残余財産は国・地方公共団体や一定の公益法人等へ
- 親族等が理事総数の3分の1を超えない(ガバナンス要件)
これらの要件は、一文でも漏れると非営利型として認められなくなる可能性があるため、慎重に記載する必要があります。
実際の相談では、「残余財産の帰属先を『類似の目的を持つ団体』と書いたが、要件を満たさないと指摘された」というケースがあります。具体的には「国、地方公共団体、公益社団法人、公益財団法人など」と明記する必要があります。
普通型との違いを表で比較(定款のどこが変わる?)
| 項目 | 普通型(税優遇なし) | 非営利型(税優遇あり) |
|---|---|---|
| 剰余金(利益)の扱い | 分配は不可(これは共通) | 同左+定款で明記が必須 |
| 残余財産の帰属 | 自由度が高い(ただし分配先に注意) | 帰属先の縛りが強い(類型で要件あり) |
| ガバナンス | 比較的自由 | 親族理事比率など要件が出る |
| 税務 | 原則、普通法人扱い | 条件を満たすと公益法人等扱い |
非営利型を選択すると、収益事業以外の収入(会費や寄付金など)に対する法人税が非課税になるため、会員ビジネスや業界団体には大きなメリットがあります。ただし、定款の要件を満たさないと、このメリットを受けられなくなるため注意が必要です。
会員制度・代議員制度を定款に記載する方法
会員制度を入れる一般社団法人は多いです(講座ビジネス、協会ビジネスなど)。ここを適当にすると、後で運営が詰みます。
会員の種別(正会員・賛助会員など)
まず決めるのは、会員区分です。
- 正会員:議決権を持つ(=社員にすることが多い)
- 賛助会員:支援目的、議決権なし
- 一般会員:サービス利用者、議決権なし
このとき「誰が社員(会員のこと)なのか」を定款で明確にします。
実際の相談では、「正会員と一般会員の違いを定款に明記していなかったため、議決権の扱いでトラブルになった」というケースがあります。会員区分ごとの権利と義務を、定款と会員規約で明確にすることが重要です。
社員と会員の違い(ここが一番誤解される)
繰り返しですが、社員は従業員ではなく「会員のこと」です。
そして社員総会(会員が重要事項を決める会議)で最終決定します。理事(法人の運営を担当する役員=社長のような立場)は運営担当、社員は最終決定権という役割分担です。
この区別が曖昧だと、「従業員が社員総会に参加できると勘違いしていた」「逆に、会員が従業員だと思われていた」など、混乱が生じます。定款や会員規約で、明確に定義することが大切です。
定款と会員規約の関係(何を定款に書き、何を規約に書くか)
結論:根幹ルールは定款、運用細則は会員規約が鉄板です。
会員規約は「法人を守るためのルール」として機能します(未払い・禁止行為・退会時精算など)。
| 書く場所 | 書く内容(例) |
|---|---|
| 定款(法人の憲法) | 会員区分、入退会の骨格、除名の手続き、社員総会の決議要件 |
| 会員規約 | 会費の支払方法、禁止事項、返金不可条件、会員同士のトラブル対応 |
定款は変更に社員総会決議が必要ですが、会員規約は理事会決議で変更できるケースが多いため、頻繁に変わる可能性がある細則は会員規約に記載するのが実務的です。
定款認証の手続き
定款ができたら、次は公証認証(公証役場で「この書類は本物です」というお墨付きをもらうこと)です。
公証役場への事前予約
まず電話等で予約します。初めての方は、事前にドラフト(案)を送ってチェックしてもらえることも多いので、余裕を持って動くと安心です。
公証役場によっては、メールで事前に定款案を送付し、内容を確認してもらえるサービスがあります。これを利用すると、当日の差し戻しリスクを減らせます。
認証当日の持ち物(代表例)
運用は公証役場で多少違いますが、一般に次が必要になります。
- 定款(紙 or 電子)
- 設立時社員・代表理事予定者の本人確認書類
- 印鑑(紙の場合) など
細かい点は予約時に「一般社団法人の定款認証で必要なもの」を確認してください。
実際の相談では、「印鑑証明書が必要だと思っていたが、公証役場によっては不要だった」というケースがあります。事前に確認することで、無駄な準備を避けられます。
認証手数料(5万円)
一般社団法人の定款認証手数料は5万円です。
費用の内訳(目安)
| 項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 定款認証手数料 | 50,000円 |
| 謄本手数料 | 1枚250円(枚数次第) |
収入印紙は不要
株式会社の「紙の定款」だと印紙が話題になりますが、(社団法人系の)定款は収入印紙を貼付しない旨が公証人側のQ&Aに示されています。
※最終判断は認証予定の公証役場で確認してください(運用確認が確実です)。
設立までの流れ(フローチャート)
必要事項を決める
↓
定款(法人のルールブック)を作成
↓
公証役場を予約 → 定款認証(お墨付きをもらう)
↓
登記申請(法務局へ正式登録)
↓
設立完了 → 口座開設・税務届出へ定款変更の手続き
設立後も、目的追加・会員制度変更・役員設計の見直しなどで定款変更が必要になります。
定款変更の流れ
基本は次の流れです。
- 変更案を作る(新旧対照表を作ると楽)
- 社員総会(会員が重要事項を決める会議)で決議
- 変更内容によっては登記変更(目的・名称・主たる事務所等)
- 関係先(銀行、助成金、取引先)へ共有
実際の相談では、「定款を変更したのに、銀行への届出を忘れていた」というケースがあります。特に、目的や役員構成の変更は、銀行口座や助成金申請に影響するため、関係先への通知も忘れずに行いましょう。
新旧対照表を作成しておくと、社員総会での説明がスムーズになり、議事録作成も楽になります。変更箇所が一目でわかるため、社員からの質問にも答えやすくなります。
公証人の認証は不要(設立後)
設立時は公証認証が必要ですが、設立後の定款変更は通常、社員総会決議で進めます。
注意点は、非営利型を維持したい場合。条文の変更で要件を外すと、普通型扱いに戻る可能性があるため、変更前に税務・法務の両面で確認しましょう。
たとえば、「残余財産の帰属先」の条項を変更すると、非営利型の要件を満たさなくなる可能性があります。このような変更を行う場合は、必ず専門家に相談することをおすすめします。
よくある質問
定款は誰が作るの?
最終的には、設立時社員(会員のこと)が作成します。実務では、代表理事予定者がひな形をベースに作り、設立時社員で確認して署名(押印)する流れが多いです。
設立時社員が複数いる場合、全員で内容を確認し、合意を得ることが重要です。後で「こんな内容だとは知らなかった」というトラブルを避けるためにも、事前の説明と合意形成を丁寧に行いましょう。
定款作成の期間は?
目的と会員設計が固まっていれば、ドラフト自体は数日で作れます。ただ、許認可や非営利型の要件確認、公証役場の予約まで含めると、余裕を見て進めるのが安心です。
実際の相談では、「急いで作ったら、後で修正が必要になった」というケースがあります。特に非営利型を狙う場合や、許認可が必要な事業を行う場合は、1〜2週間程度の余裕を持って準備することをおすすめします。
1人で設立できる?
一般社団法人は、設立時社員(会員のこと)が2名以上必要です。1人で完結はできません(「一般社団法人の設立要件」)。
ただし、設立後に1名が退会して、社員が1名になることは可能です。ただし、社員総会の決議要件を満たせなくなるなど、運営上の制約が出る可能性があるため、通常は2名以上を維持することが推奨されます。
法人が社員(会員)になれる?
法人が会員になる設計も可能です(BtoBの業界団体など)。ただし、議決権の設計や、誰が意思決定するか(担当者変更時の扱い)まで、会員規約とセットで整えるのがおすすめです。
法人会員の場合、「代表権限を持つ者」や「指定された代理人」が議決権を行使することになります。この点を定款や会員規約で明確にしておくことで、担当者が変わった場合もスムーズに運営を続けられます。
まとめ
一般社団法人の定款(法人のルールブック)は、設立のためだけでなく、設立後の運営トラブルを防ぐ「土台」です。
まずは絶対的記載事項(必ず書かなければならない7つの項目)を落とさず、次に会員制度・役員設計・公告方法などを現実的に整えましょう。非営利型を狙う場合は、定款の一文が要件に直結するため、専用ひな形の利用が安全です。
定款作成で最も重要なのは、「後で困らないルール作り」です。会員とのトラブル、許認可の不備、税制優遇の喪失など、定款の不備が原因で発生する問題は少なくありません。ひな形を活用しつつ、自分の法人に合わせたカスタマイズを行うことで、長期的に安定した運営が可能になります。
設立全体の流れは「一般社団法人の設立方法を完全解説」も参考にしてください。
定款作成でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
これまでの支援経験から、「非営利型で設立したい」「会員制度を導入したい」など、あなたの目的に合わせた定款作成をサポートします。 初回相談は無料です。






