一般社団法人と株式会社の違いをわかりやすく解説【比較表付き】

「法人設立を考えているけど、株式会社と一般社団法人のどちらを選べばいいかわからない…」 そんな悩みをお持ちではありませんか?

実は、事業の目的によって最適な法人形態は大きく異なります。

当事務所では200法人以上の設立をサポートしてきた実績があります。 この記事では、その経験を基に、株式会社と一般社団法人の違いから、 あなたのビジネスに合った選び方まで、わかりやすく解説します。

この記事を読めば、以下のことが理解できます:

✓ 株式会社と一般社団法人の決定的な違い
✓ それぞれのメリット・デメリット
✓ あなたのビジネスにどちらが合っているか
✓ 設立費用や手続きの違い


一般社団法人と株式会社の違い【結論】

結論から言うと、最大の違いは「利益を分配できるか」です。

株式会社は営利(利益を分配する=稼いだお金を出資者(株主)で山分けする)の法人なので、利益が出たら配当(株主への利益の分け前)として株主に分配できます。

一方、一般社団法人は非営利(利益を分配しない=稼いだお金を会員で山分けしない)の法人なので、利益を社員に分配できません。

ここで大事なのが、「非営利=無償」ではないという点です。非営利でも、サービスを有料にして利益を出すことはできますし、スタッフに給料を支払うこともできます。違いは、最終的に余った利益を「山分け(分配)」できないことです。

まずは全体像をつかむために、簡易の比較表を見てください。

比較ポイント一般社団法人株式会社
利益分配できないできる(配当)
設立者2名以上1名以上
資本金不要1円以上
設立費用目安約11万円約22〜24万円
社会的イメージ協会・団体向き事業会社の定番

「協会を作りたいのか」「投資家から資金調達したいのか」など、目的が決まると判断は一気にラクになります。


一般社団法人とは?【基本概念を5分で理解】

一般社団法人の定義

一般社団法人は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律に基づく法人で、ざっくり言うと「人の集まり(会員制の団体)に法人格を与えたもの」です。法人格があるので、団体名義で契約したり、口座を作ったりできます。

また、準則主義(役所の許可なしで、手続きだけで設立できる仕組み)なので、一定の書類と手続きを踏めば設立できます。2008年以降に使えるようになった、比較的新しい法人形態です。

「非営利」の本当の意味

誤解が多いのが「非営利」です。

よくある勘違いは、「非営利=利益を出してはいけない」「非営利=給料を払えない」「非営利=無料で提供しないといけない」。

でも正解は、非営利(利益を分配しない=稼いだお金を会員で山分けしない)という意味です。つまり、非営利=無償ではないのがポイント。利益は出してOK、サービスは有料でOK、役員報酬や給料もOKです。余ったお金は翌年度に繰り越して、活動を継続・拡大するために使います。

実際の相談でも、「非営利法人だから給料は出せないんですよね?」という質問は本当によくあります。しかし実態は、講座で年間数千万円の収益を上げている一般社団法人も珍しくありません。重要なのは「稼いだ利益を会員で山分けしない」という点だけです。

一般社団法人の具体例

一般社団法人は「協会」「業界団体」「学会」などでよく使われます。

たとえば、業界団体(経済団体・金融関連の団体など)、学術団体(○○学会のような団体)、身近な例だと同窓会や地域の団体が法人化するケースもあります。

特に、資格認定・講座ビジネスのように「認定の公平性」や「団体としての信頼」が求められる領域では、一般社団法人がはまりやすい傾向があります。


株式会社と一般社団法人の違い【詳細比較表】

10項目以上の比較表

違いを一気に整理するために、実務でよく聞かれる論点を中心にまとめます。

項目一般社団法人株式会社
法人の目的非営利(分配しない)営利(分配できる)
利益分配できないできる(配当)
設立者の人数社員2名以上1名以上
意思決定機関社員総会(会員が集まって重要なことを決める会議)株主総会(株主が集まって会社の方針を決める会議)
議決権原則1人1票原則1株1票
役員理事(法人の運営を担当する役員。株式会社の取締役に相当)1名以上取締役1名以上
資本金概念なし(不要)資本金(会社を立ち上げる際の元手となるお金)1円以上
出資の考え方基金(一般社団法人版の資本金。ただし返さなくていいお金(寄付に近い))を置く場合あり出資=株式。出資者は株主
設立手続き定款認証+登記定款認証+登記
設立費用目安約11万円約22〜24万円
資金調達株式発行不可。金融機関融資・会費・寄付など株式発行・増資・投資家から調達しやすい
税制非営利型は優遇の可能性あり原則、全所得に課税(法人税など)
事業内容制限なし(適法な範囲)制限なし(適法な範囲)

設立手続きの大枠は似ていますが、「分配できるか」「議決権の考え方」「資金調達のしやすさ」が根本的に異なります。

「社員」の意味が違う(最も誤解されやすい)

一般社団法人でいう社員(会員のこと。従業員ではない/株式会社の株主に近い存在)は、法人の重要事項を決める人です。

一方、株式会社で「社員」というと、一般には従業員を指しますよね。この言葉のズレが、トラブルの入口になります。

実際の相談でも「社員って従業員ですか?」という質問は本当に多いです。一般社団法人では、社員=会員(議決権を持つ人)なので、誰を社員にするかは「将来の経営権」に直結します。ここを曖昧にしたまま設立すると、後で揉めやすくなります。

たとえば、設立時に「仲の良い友人だから」という理由だけで社員にした場合、後から意見が対立したときに社員総会で議決が通らず、重要な決定ができなくなるケースがあります。社員の選定は、「この人に経営の鍵を握らせても大丈夫か」という視点で慎重に判断する必要があります。

議決権の違いが経営に与える影響

一般社団法人は原則「1人1票」、株式会社は原則「1株1票」です。

この違いは、経営の安定性に大きく影響します。株式会社では、51%以上の株式を持てば経営権を確保できますが、一般社団法人では社員の過半数の賛成が必要です。つまり、出資額に関係なく、人数で決まるのです。

これまでの支援経験では、この違いを理解せずに設立して、後から「思うように決議が通らない」と相談に来られる方が一定数いらっしゃいます。


一般社団法人のメリット・デメリット

一般社団法人のメリット

一般社団法人のメリットは、「協会・団体ビジネス」と相性が良い点にあります。

まず設立費用。一般社団法人は、定款認証手数料や登録免許税(登記する際に法務局に払う税金)などを合計して約11万円が目安です。株式会社より10万円以上抑えやすいので、立ち上げ期の負担を小さくできます。

また、資本金が不要なので「まずは小さく始めて、会費や講座収入で育てる」設計がしやすいです。

次に自由度。NPO法人のように活動分野が限定されないため、適法な範囲なら事業内容の制限はありません。資格認定、講座運営、会員制度、イベントなどを組み合わせやすいのも強みです。

さらに「団体としての見え方」。協会名義で認定証を発行したり、加盟店制度を作ったりするとき、一般社団法人のほうが”個人の看板”より信頼されやすい場面があります。もちろん業種や取引先によりますが、「協会として中立に運営している」印象を作りやすいのは事実です。

一般社団法人のメリット全般は、詳しくは「 一般社団法人のメリット・デメリット 」の記事もご覧ください。

一般社団法人のデメリット

最大のデメリットは、やはり利益分配ができないことです。事業が軌道に乗って利益が出ても、社員に山分けはできません。

そのため「出資した人に見返りを返したい」「利益を配当として還元したい」モデルには向きません。

また、資金調達面では株式発行ができないため、投資家からの資金調達を前提にするなら不利です。拡大のスピードを重視する場合は、株式会社のほうが選びやすいでしょう。

税制も注意点です。一般社団法人には「非営利型」という区分があり、要件を満たすと税負担が軽くなる場合があります。ただし、設計を間違えると非営利型にならないこともあるので、最初から税理士・専門家と相談して設計するのが安全です。

区分普通型非営利型
税のイメージ収益に広く課税要件を満たすと一部優遇の可能性
注意点事業設計次第で税負担が増える要件の設計ミスで優遇を受けられない

【実例】こんな失敗に注意(ケーススタディ)

【失敗事例1】利益を山分けしたかったのに…

Aさんは仲間3人で講座ビジネスを始める際、「一般社団法人の方が信頼されそう」と考えて設立しました。ところが運営が軌道に乗り、利益が出ても、非営利(利益を分配しない)なので仲間に分配できません。「最初から株式会社にしておけばよかった」となり、解散して作り直すことに。余計な時間と費用が発生しました。

教訓:利益を分配したいなら株式会社が基本です。

【失敗事例2】社員(会員)設計を甘くして揉めた…

「社員=従業員」だと思い込み、協力者に軽い気持ちで社員になってもらったケース。後から方針が割れて、社員総会で議決が通らず運営が止まりました。一般社団法人の社員は”経営の鍵”なので、会員規約・議決権の設計が重要です。

会員制度設計に関しては、 「一般社団法人 定款 」や「会員規約の作り方」の記事もあわせてご覧ください。


株式会社のメリット・デメリット

株式会社のメリット

株式会社の最大の強みは、配当(株主への利益の分け前)という形で、利益を株主に還元できる点です。出資者が「リターン」を期待できるので、投資家から資金を集めやすく、拡大戦略と相性が良くなります。将来的に上場を目指す場合も、基本は株式会社一択です。

また、社会的信用の面でも「株式会社=事業会社の標準形」という認知があるため、取引先や金融機関によっては話が早いことがあります。出資と経営を分けられるので、共同経営でも設計の選択肢が多いのもメリットです。

実際の現場では、BtoB取引の場合、「株式会社でないと取引できない」という方針の企業も一定数存在します。特に大手企業や金融機関との取引を想定している場合、株式会社のほうが門戸が広い傾向があります。

株式会社のデメリット

デメリットはコストと税負担です。設立時は、定款認証などに加えて登録免許税が高くなりやすく、総額で約22〜24万円が目安です。立ち上げ期に「できるだけ固定費を下げたい」場合は負担になります。

また、事業で利益が出ると、法人税(法人が稼いだ利益にかかる税金)などがかかります。もちろん一般社団法人でも課税はありますが、株式会社は原則として事業所得に広く課税されるため、税務設計は早めに考える必要があります。


一般社団法人と株式会社【どちらを選ぶべきか】

一般社団法人が向いている人

次に当てはまるなら、一般社団法人が有力候補です。

  • 利益の分配は考えていない(非営利=分配しない)
  • 社会貢献・公益的な活動が軸にある
  • 業界団体・協会・学会を作りたい
  • 資格認定ビジネスを始めたい
  • 設立費用を抑えたい

【実務の肌感】

資格ビジネス・講座ビジネスでは、「協会として認定する」こと自体が価値になります。たとえば、講師・インストラクターの認定制度を作るとき、株式会社だと「自社の利益のための認定」に見えやすい一方、一般社団法人だと「業界のルール作り」に見えやすい。ここが成約率に影響することがあります。

株式会社が向いている人

一方、次のタイプは株式会社が向いています。

  • 利益を出資者に分配したい(配当を出したい)
  • 将来的に上場を目指す
  • 投資家から資金調達したい
  • 利益追求がメインで、拡大スピードを重視したい

業種別の選び方(早見表)

業種おすすめ理由
資格認定一般社団法人公平性・公益性が重視される
講座・セミナー(協会モデル)一般社団法人会員制度と相性が良い
業界団体一般社団法人非営利のイメージが重要
EC・小売株式会社利益追求が中心になりやすい
製造業株式会社設備投資・資金調達が重要

「あなたにはどちらが合う?」チェックリスト

最後に、迷ったときの判断軸をチェックリストにします。

  • □ 利益を”山分け”したい → 株式会社
  • □ 協会として認定制度を作りたい → 一般社団法人
  • □ 投資家からお金を集めたい → 株式会社
  • □ 会費・寄付・協賛も収入源にしたい → 一般社団法人
  • □ まずは低コストで形にしたい → 一般社団法人
  • □ 取引先が「株式会社じゃないと…」と言いそう → 株式会社

「非営利=無償ではない」ので、一般社団法人でも”しっかり稼ぐ”設計は可能です。違いは、稼いだ利益を誰にどう還元するか、です。


他の法人形態との違い

一般社団法人 vs NPO法人

NPO法人は、NPO法人(特定非営利活動法人。20分野の活動に限定される非営利法人)として、社会貢献のイメージが強い一方、手続きや運営ルールが厳しめです。一般社団法人は設立が比較的スピーディーで、事業の自由度が高いのが特徴です。

項目一般社団法人NPO法人
活動分野制限なし20分野に限定
設立手続き登記中心認証が必要(時間がかかる)
設立期間1〜2週間目安数か月かかることも
設立費用約11万円低コストになりやすい
運営比較的シンプル報告義務などルール多め

「社会貢献の看板」を最重視するならNPO法人も選択肢ですが、ビジネスモデルを柔軟に組みたいなら一般社団法人が扱いやすいケースが多いです。

実際のケースでは、「NPO法人を作ろうと思ったが、活動分野が20分野に限定されていて、自分のやりたい事業が該当しなかった」という相談もあります。一般社団法人は活動分野の制限がないため、幅広い事業展開が可能です。

一般社団法人とNPO法人の違いについて詳しく知りたい方は、「一般社団法人とNPO法人の比較」もあわせてご覧ください。

一般社団法人 vs 一般財団法人

一般財団法人は、一般財団法人(「人」ではなく「お金(財産)」を集めて作る法人)です。

一般社団法人が「人の集まり」なのに対して、一般財団法人は「財産を拠出して、その運用・活用で目的を実現する」イメージです。設立時に一定の財産(目安として300万円以上が語られることが多い)が必要になる点が大きな違いです。

さらに、一般社団法人のうち公益性が高いと認定されると、公益社団法人(国や都道府県から『公益性が高い』と認定された一般社団法人)という形もあります。ただしこれは別途ハードルがあるため、まずは一般社団法人で設計を固める方が一般的です。

一般社団法人と一般財団法人の違いについて詳しく知りたい方は、「一般社団法人と一般財団法人の比較」もあわせてご覧ください。


一般社団法人の設立費用と流れ

設立費用(目安)

一般社団法人の設立費用は、ざっくり次のイメージです。

  • 定款(法人のルールブック/法人の憲法)認証手数料:約5万円
  • 登録免許税(登記時に払う税金):6万円
  • 合計:約11万円

株式会社は登録免許税が高くなりやすく、合計で約22〜24万円が目安です。初期費用を抑えたいなら、一般社団法人は魅力的です。

この費用差は、特に複数の事業を検討している場合に重要になります。たとえば、「まず1つ目の協会を作って市場反応を見たい」という場合、一般社団法人なら初期投資を抑えて複数の法人を作ることも現実的です。

設立手続きの詳細は、「 一般社団法人 設立 」の記事もご覧ください。

設立の流れ(4ステップ)

設立の流れはシンプルです。

  1. 定款を作成
  2. 公証役場(定款が本物かチェックする公的機関)で定款認証(『この定款は本物です』というお墨付きをもらうこと)
  3. 法務局で登記(法人の情報を正式に登録すること)申請
  4. 設立完了(目安1〜2週間)

「何から決めればいいか分からない」という方は、目的・事業内容・会員制度の骨格を先に固めるのがおすすめです。ここが曖昧だと、設立後の運営が重くなります。


よくある質問(FAQ)

Q1:一般社団法人でも給料は出せますか?

A:はい、出せます。非営利(利益を分配しない)でも、役員報酬や従業員給与は支払えます。非営利=無償ではないので、サービスを有料にして利益を出すことも可能です。

実際の相談では、「非営利法人だから役員報酬は月10万円まで」といった誤解をされている方もいらっしゃいます。しかし、適正な範囲であれば、役員報酬の上限に法的な制限はありません。重要なのは「利益を社員に分配しない」という点です。

Q2:設立後に株式会社に変更できますか?

A:原則として「組織変更」はできません。一般社団法人から株式会社にしたい場合は、解散して新たに株式会社を作る流れになり、時間・費用・契約名義の変更などの負担が発生します。最初の選択が重要です。

これまでの経験では、組織変更の際に、既存の契約(不動産賃貸借、取引先との契約など)を全て結び直す必要があり、想定外の労力がかかったケースがあります。

Q3:一人でも設立できますか?

A:いいえ、一般社団法人は社員(会員のこと。従業員ではない)が最低2名必要です。理事(運営担当の役員)は1名以上です。人数設計は「誰に議決権を持たせるか」なので、関係性まで含めて慎重に決めましょう。

「とりあえず家族を社員にする」という方法もありますが、将来的に方針が変わったときに社員総会での議決に影響するため、長期的な視点で検討することをおすすめします。


まとめ

一般社団法人と株式会社の最大の違いは「利益の分配」です。

株式会社は営利(利益を分配する)なので配当を出せますが、一般社団法人は非営利(利益を分配しない)なので山分けはできません。とはいえ、非営利=無償ではないため、一般社団法人でも有料サービスで利益を出し、給料を支払う運営は可能です。

資格認定・講座ビジネスなど「協会モデル」で信頼を作りたいなら一般社団法人、投資家調達や配当を前提に拡大したいなら株式会社、という整理が分かりやすい判断軸になります。


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