「一般社団法人の設立費用はいくらかかるの?」
結論から言うと、自分で設立する場合は約11~13万円、専門家に依頼する場合は約18~28万円が必要です。
ただ、設立時の金額だけを見て判断すると危険です。実務では「設立費用は払えたけど、設立後の運転資金が足りずに止まる」ケースが少なくありません。この記事では、費用の内訳に加えて、設立後の年間ランニングコスト、そして失敗しない資金計画(設立費用+運転資金3~6ヶ月分)まで、初心者の方にも分かりやすく整理します。
一般社団法人の基本から確認したい方は「一般社団法人とは?初心者向け徹底解説」もあわせてご覧ください。
一般社団法人の設立費用の結論
一般社団法人の設立費用は、大きく分けると次の3つです。
法定費用(法律で必ず必要な費用)
- 定款認証:5万円
定款認証=公証役場で「この書類は本物です」というお墨付きをもらうこと - 登録免許税:6万円
登録免許税=法人として登録する際に国に支払う税金/登録料のようなもの - そのほか、公証役場・法務局まわりの実費
→ 目安として合計約11.2万円前後が「土台」になります。
その他の実費(団体により増減)
法人印(印鑑)作成、登記簿謄本(法人の住民票のようなもの)取得、郵送代など
→ 約2~4万円を見込む方が多いです。
専門家への依頼費用(依頼する場合)
行政書士等の報酬が中心で、相場は7~15万円程度
→ 法定費用+実費に上乗せされ、総額約18~28万円が目安になります。
株式会社と比べると、一般社団法人は資本金が不要で、設立時にまとまった資金を用意しやすい一方、設立後は社員総会(会員が集まって重要事項を決める会議)の運営や、会計・税務の手間が増えます。費用は「設立時」だけでなく「設立後」まで含めて判断するのが、後悔しないコツです。
設立の流れは「一般社団法人の設立方法を完全解説」も参考にしてください。
【早見表】一般社団法人の設立費用一覧
まずは全体像を、パッと把握できる形にまとめます。
| 区分 | 自分で設立 | 専門家に依頼 |
|---|---|---|
| 定款認証(公証役場のお墨付け) | 50,000円 | 50,000円 |
| 登録免許税(国に払う登録料) | 60,000円 | 60,000円 |
| その他法定実費(謄本・印紙類・交通等) | 2,000~10,000円 | 2,000~10,000円 |
| 印鑑作成・証明書取得など実費 | 20,000~40,000円 | 20,000~40,000円 |
| 専門家報酬 | 0円 | 70,000~150,000円 |
| 合計目安 | 110,000~130,000円 | 180,000~280,000円 |
※上の金額レンジが出る理由は、主に「印鑑のグレード」「証明書取得の回数」「郵送/交通の有無」「専門家報酬の範囲(書類作成のみ/登記まで一括)」の違いです。
なお、一般社団法人は電子定款(紙ではなくPDF等データ形式で作成した定款)にしても、紙の定款でも収入印紙(書類に貼る税金の証明/切手のようなもの)は不要です。ここは株式会社と混同されやすいポイントなので、後ほどFAQでも整理します。
費用と同時に「準備する書類」も確認したい方は「設立書類チェックリスト」もあわせてどうぞ。
設立費用の詳細内訳
法定費用(約11.2万円)
一般社団法人の設立で、金額が明確に決まっているのが法定費用です。
定款認証:50,000円
定款(法人のルールブック)を作ったら、公証役場で認証を受けます。これが5万円です。「定款認証=公証人のハンコ代」とイメージすると分かりやすいです。
登録免許税:60,000円
法務局へ登記申請をする際に、国へ支払う税金です。一般社団法人は原則6万円です。収入印紙を購入して申請書に貼付する形で納付します。
その他(謄本・証明・郵送などの実費)
設立時に添付する書類の取得(住民票等)や郵送代、登記完了後に登記簿謄本を取る費用など、数千円~1万円程度は見ておくと安心です。
法定費用だけを見ると「固定で11万円ちょっと」と把握できますが、実際には次の”その他実費”が地味に効きます。
その他の実費(約2~4万円)
「え、そんなに?」となりやすいのが実費です。典型例は次のとおり。
法人印(代表印・銀行印・角印):1万円台~3万円台が多い
ネット印鑑なら安く、店舗で高級材だと上がります。多くの方は、代表印・銀行印・角印の3点セットを購入します。
印鑑証明書・住民票などの取得:数百円×必要部数
設立時には、理事や社員の印鑑証明書や住民票が必要になります。自治体により異なりますが、1通300~450円程度です。
登記簿謄本(履歴事項全部証明書)・印鑑証明書(法人):設立後に何度か取得する前提で計上
口座開設・取引開始・補助金申請などで求められることが多いです。設立直後は複数回取得することになるため、合計で3,000~5,000円程度を見込んでおくと安心です。
専門家への報酬(7~15万円)
依頼費用は「どこまで頼むか」で変わります。
設立そのものは自分でもできますが、会員制度(社員=会員や構成員のこと)や、役員構成(理事=会社でいう取締役のような存在)をどう設計するかで、設立後の手間とトラブルが大きく変わります。
会員規約まで含めて整えたい方は「会員規約の作り方」も参考にしてください。
一般社団法人とは?
非営利法人の定義
一般社団法人の最大の特徴は「非営利」です。ただし、ここは誤解が多いところ。
非営利=利益を出してはいけない、ではありません。
非営利とは、正確には 「利益を構成員に分配しない」 という意味です(利益が出てもOK。分配はNG)。利益は翌期へ繰り越したり、事業の拡大・人件費・設備投資に回したりします。
「お金をもらってはいけないの?」「有料サービスはダメ?」と不安になる方もいますが、一般社団法人でも事業収入を得て、給与や報酬を支払うことは可能です。むしろ、継続には収益構造が重要です(設立後の資金計画で詳しく触れます)。
設立要件(最低限必要なもの)
一般社団法人の設立要件はシンプルです。
- 社員(会員・構成員)2名以上
- 理事 1名以上
- 資本金は不要
- 定款(法人のルールブック)を作り、公証役場で定款認証
- 最後に法務局で登記(ここで法人が成立)
「社員=従業員」と誤解されがちですが、ここでの社員は”議決権を持つメンバー”です。設計次第で、運営の安定性や対外的信用が変わります。
要件の全体像は「一般社団法人の設立要件をわかりやすく解説」もあわせてどうぞ。
【比較】株式会社・NPO法人との費用の違い
法人形態を迷う方は多いので、費用面を中心に整理します。
株式会社との比較(資本金・収入印紙・相場)
| 項目 | 一般社団法人 | 株式会社 |
|---|---|---|
| 資本金 | 不要 | 1円~(ただし実務上は運転資金も必要) |
| 定款認証 | 5万円 | 約5万円(+謄本等) |
| 収入印紙 | 不要(紙でも電子でも不要) | 紙定款は4万円、電子定款なら不要 |
| 登録免許税 | 6万円 | 最低15万円(資本金額で変動) |
| 設立費用の目安 | 約11~13万円 | 約22~24万円が多い |
株式会社は「登記の登録免許税が高い」ことと、「紙定款だと収入印紙4万円」が効いて、設立費用が上がりやすいです。一方で、利益分配(配当)を前提とする設計や、投資家からの資金調達など、目的によっては株式会社が向くケースもあります。
迷う場合は「一般社団法人と株式会社の違いを比較」も参考にしてください。
NPO法人との比較(設立費用0円でも”別の負担”がある)
| 項目 | 一般社団法人 | NPO法人 |
|---|---|---|
| 設立費用 | 約11万円 | 0円(登録免許税なし) |
| 設立期間 | 2~4週間 | 4~6ヶ月が一般的 |
| 事業の自由度 | 適法なら制限なし | 20分野に限定 |
| 必要人数 | 最低2人 | 最低10人 |
| 報告義務 | 年次報告は基本なし | 所轄庁への提出が毎年必要 |
NPO法人は「設立費用0円」が目立ちますが、設立までが長く、書類・報告の負担が重い傾向があります。また、事業内容が20の分野(保健・医療・福祉、社会教育、まちづくり等)に限定されるため、当てはまらない事業は選択できません。
スピード感を重視する方、事業の自由度を優先する方は一般社団法人が合いやすいです。詳しくは「一般社団法人とNPO法人の比較」もご覧ください。
設立費用を抑える3つの方法
方法1:自分で設立する
一番大きいのは、専門家報酬(7~15万円)をカットできる点です。
ただし、単に書類を”作る”だけでなく、社員(会員)の設計や理事の役割分担を間違えると、設立後に社員総会や規約運用で詰まります。時間を確保できて、調べるのが苦でない方は自力設立でもOK。逆に、事業が忙しい方・急いで法人格が必要な方は、依頼した方が総合的に得になることもあります(後述)。
方法2:印鑑をネットで購入(相場を下げやすい)
印鑑は「絶対に高級品が必要」ではありません。
設立直後は、口座開設や契約でスピード優先になることも多いので、ネット印鑑で1~2万円台に抑えるだけでも効果があります。もちろん、対外的な印象を重視するなら材質にこだわる選択もあり、ここは事業方針とのバランスです。
方法3:バーチャルオフィスの活用
固定費の圧縮は、設立費用以上に効きます。
事務所賃料が月5万円なら、3ヶ月で15万円。設立費用よりインパクトが大きいことも珍しくありません。最初はバーチャルオフィスで始めて、売上が安定してから移転する、という設計は現実的です。
住所の扱い・郵便転送・契約条件はサービスにより違うので、「事務所住所の決め方・注意点」もチェックしておくと安心です。
【重要】設立後の年間ランニングコスト
設立時は11~13万円で済んでも、毎年の固定費が読めていないと資金繰りが崩れます。ここがこの記事の一番の差別化ポイントです。
必ずかかる費用(最低ライン)
法人住民税均等割(赤字でも必ず支払う年間7万円の固定税金)
目安として年7万円を見込む方が多いです(自治体や区分で差が出る場合があります)。
「利益が出てないのに払うの?」となりやすいので、先に資金計画へ入れましょう。法人住民税均等割は、事業の収支に関係なく発生する固定費です。多くの方がこの存在を知らず、設立後に初めて知って驚かれます。
役員変更登記(任期管理)
理事には任期があり、変更や更新のタイミングで登記費用が発生します。頻度は設計次第ですが、放置すると過料リスクもあるため、スケジュール管理が大切です。
一般的には、理事の任期を2年に設定することが多く、2年ごとに変更登記(登録免許税1万円)が必要になります。役員設計は「理事・社員の選び方」も参考になります。
事業内容により必要な費用
税理士顧問料・決算申告費用
事業規模が小さければスポット対応も可能ですが、会費収入・講座収入・寄付などお金の流れが増えるほど、専門家が入った方が安心です。
会計ソフト利用料、記帳代行費用
社会保険(従業員雇用の有無で大きく変動)
事務所費・通信費・決済手数料
【実務ベース】年間コストシミュレーション(3パターン)
| パターン | 想定 | 年間コスト目安 |
|---|---|---|
| 最小パターン | 役員のみ/会計は自力/事務所固定費ほぼなし | 7万~15万円 |
| 標準パターン | 税理士に決算だけ依頼+必要な証明書取得 | 20万~45万円 |
| しっかり運営 | 顧問税理士+記帳サポート+事務所費も計上 | 50万~120万円 |
ポイントは、設立費用(約12万円)より、年間固定費(特に法人住民税+会計まわり)が先に重くなることです。設立前に「最低でも1年回すコスト」を見える化しておくと、後悔が減ります。
失敗しないための資金計画
【よくある失敗】設立費用だけ用意して運転資金不足
実務で多いのがこのパターンです。
「設立費用は11~13万円で足りる」と分かって安心し、そこで資金計画が止まってしまう。ところが設立後は、法人住民税均等割(年7万円)や、口座開設・契約・サイト整備などで支払いが続きます。売上がまだ立っていない時期に固定費だけが出ていき、3ヶ月で資金が尽きる…という流れです。
実際の相談では、会員制ビジネスを始めたものの、会員がなかなか集まらず、会費収入が想定を下回るケースがよくあります。例えば、月会費3,000円で100名の会員を見込んでいたが、実際には設立後3ヶ月で30名しか集まらなかった場合、月収は9万円。一方、事務所費、税理士費用、広告費などで月10万円以上の支出があれば、毎月赤字が続きます。
必要な運転資金の目安は「3~6ヶ月分」
最低でも、次の合計を用意するのが安全です。
- 設立費用:11~13万円(依頼なら17~23万円)
- 運転資金:毎月の固定費 × 3~6ヶ月分
例:固定費が月5万円なら、3ヶ月で15万円、6ヶ月で30万円
「設立費用+運転資金」で考えると、必要額の見え方が一気に現実的になります。
資金調達の方法(選択肢を先に知る)
- 会費(会員制度)設計:毎月の固定収入にしやすい
- 講座・認定・資格ビジネス:設立直後から収益化しやすいモデルもある
- 協賛・寄付:信用が上がるほど集めやすいが、設計が重要
- 補助金・助成金:タイミングと要件の相性がある
収入源の組み立ては「一般社団法人の収入源を確保する方法」もあわせてどうぞ。最初から”資金が回る設計”にすると、運営が楽になります。
専門家に依頼すべきケース・自分でできるケース
専門家に依頼した方がよいケース
- とにかく急いで法人格が必要(取引条件・助成金申請など期限がある)
- 会員制度(社員=会員)をちゃんと設計したい(退会・会費滞納・資格認定などルールが必要)
- 理事の人選や権限分担で揉めそう(共同事業・複数人で運営)
- 設立後の運営(規約・税務・変更登記)まで見据えたい
一般社団法人は、設立”だけ”なら難しくありませんが、事業が走り出すと「社員総会の運営」「議事録」「規約運用」で詰まりが出やすいです。最初に設計しておく方が、結果的に安く済むことがあります。
自分でできるケース
- 事業内容がシンプルで、関係者が少ない
- 役員・社員が明確で、運営ルールも単純
- 役所手続きや書類作成に抵抗がない
- スケジュールに余裕がある
実務目線のおすすめ(迷ったらこの考え方)
「書類作成は自分で、設計だけ相談する」も現実的です。
つまり、コストを抑えつつ、重要な”設計ミス”だけ避けるやり方。会員規約が絡む場合は、特に効果が大きいです。制度設計を先に知りたい方は「会員規約のひな形と作り方」も参考にしてください。
よくある質問
電子定款にすれば安くなる?
一般社団法人は、紙でも電子でも収入印紙は不要なので、電子定款にしても費用は変わりません。
ただし、電子定款はデータ管理がしやすい・修正履歴を残せるなどの実務メリットはあります。
一番安く設立するには?
最安は「自分で設立」+「印鑑をネットで購入」+「固定費を持たない(バーチャルオフィス等)」の組み合わせです。
ただし、安さだけで進めると、会員制度や運営ルールが曖昧なままスタートし、後から作り直して二度手間になりがちです。最初に「最低限のルール」を整えるのがコツです。
分割払いはできる?
法定費用(定款認証5万円、登録免許税6万円)は手続き上、基本的にその都度必要です。専門家報酬については事務所ごとの対応になります。
支払い設計も含めて相談したい場合は、記事末の無料相談をご利用ください。
まとめ
一般社団法人の設立費用は、自分で設立:11~13万円、専門家に依頼:18~28万円が目安です。内訳の中心は、定款認証5万円と登録免許税6万円。そこに印鑑作成や証明書取得などの実費が加わります。
ただし、本当に大切なのは設立後です。法人住民税均等割(年7万円)をはじめ、運営には毎年コストがかかります。失敗しないためには、設立費用+運転資金3~6ヶ月分をセットで考え、年間のランニングコストまで見える化しておくことが重要です。
次の一歩として、あなたに合った方法を選んでください。
一般社団法人の設立、次のステップへ
設立費用について理解できましたか?
次のステップとして、あなたに合った方法をお選びください。
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