定款をつくる上で決めておくべきこと
定款をつくる上で決めておくべきこと
一般社団法人の定款に書く内容
一般社団法人を設立する上では、定款を作らなければならないことはご存知の方が多いかと思いますが、定款に何を書けばいいかわからない、定款をどのように作れば悩む、という方も多くいらっしゃるかと思います。
定款を書く、というと何だか面倒な話が多そうですが、定款に定めることは、あなたの一般社団法人を運営していく上で核となる大切なことです。
一般社団法人の定款は、設立時社員(2人以上)が作成する決まりになっています。
では、定款には具体的にどんなことを書けばよいのでしょうか?
定款に書く内容は大きく2つにわかれます。
一つは絶対的記載事項で、もう一つは相対的記載事項です。
絶対的記載事項とは、その名の通り必ず書かなければならない内容です。
一方、相対的記載事項とは、それに関する内容があなたの一般社団法人にあれば、記載しなければならない、ということです。
一般社団法人を設立する上で、定款を作成しようと思ったら、最低限この絶対的記載事項は考えなければならないことになります。
そして、具体的には、絶対的記載事項とは、以下の7つの内容のことを言います。
一 目的
二 名称
三 主たる事務所の所在地
四 設立時社員の氏名又は名称及び住所
五 社員の資格の得喪に関する規定
六 公告方法
七 事業年度
一目的は、一般社団法人を設立してどんな目的で事業をするのかということです。
目的を決める際の注意点としては、当然ですが法や公序良俗に反しないことが条件になります。
また、定款に目的を記載する際は、誰が見ても分かりやすいように書かなければなりません。
一.般社団法人を設立する目的としては、例えば、
・資格の発効・認定
・異業種連携
・認知度アップ
・イベント・教室の開催
・研究機関
などが挙げられます。
NPO法人とは違い、一般社団法人の事業としてできることにほとんど制限はないので、何をするかは自由で、収益を上げることを目的としてももちろん大丈夫です。
上に上げた例の中では、最も多いのが資格の発効や認定で、私の感覚では全体の7割くらいの方が、このために一般社団法人を設立しています。
資格の発効とは、例えば、「一般社団法人 マッサージ協会」のような団体を立ち上げて、マッサージに関する認定試験を開催したり、合格者に資格を付与したりする活動を通して、マッサージの普及を目指すといったことです。
「~検定」、「~マイスター」などという民間資格をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、そういった資格を発行しているのが、一般社団法人であることが多いです。
二.名称は、あなたが設立する一般社団法人の名前のことです。
一般社団法人の名称を決める際にはいくつか注意点があるのですが、それに関しては、私の書いた別のコラム「一般社団法人設立時に名称を決めるときの注意点」で詳しく書いておりますので、ぜひご参照ください。
三.主たる事務所の所在地ですが、例え事務所を構えないで事業を行う場合でも、事務所の所在地を明記する必要があります。
一般社団法人を設立する過程で、郵便物が届かないなどの不都合が発生する場合もあるので、拠点となる住所は決めておくとよいかもしれません。
四.設立時社員の氏名及び住所ですが、こちらは新たにつくる一般社団法人の設立時社員を定款上で決定するために必要になります。
五.社員の資格の得喪に関する規定は、どうすれば設立する一般社団法人の社員になれるか、という決まりのことです。他にも社員が脱退する手続きやその事由などを定めなければなりません。
ここで言う「社員」とは、「会社で働く人」という意味ではなく、一般社団法人の文脈で使われる、「社員総会の議決権を持つ人」という意味です。
社員総会の議決権を持つ、ということは、一般社団法人の運営において一定の決定権を持つことになりますので、どのような手続き・条件で社員にするか・脱退させるかを決めておくことは重要です。
続いて六.公告方法についてです。
「公告」とは「広告」とは違い、一般に公開することで、決算情報などの重要事項を公開しなければならないことが法律で定められています。
最後に七.事業年度は、決算などの書類の計算の基礎となる年度のことです。
この事業年度は、各法人が自由に決めることができます。
定款に書かなければならないのは、こういった情報をどのような方法で公開するか、ということです。
公告方法は以下の4つの方法の中から選ぶことになります。
・官報への掲載
・日刊新聞への掲載
・インターネット・ウェブサイト上での公開
・定款で定めた主たる事務所に掲示板を設置し、そこで告知
ここまでお話ししてきました7つの内容は、定款に必ず記載しなければならないことですので、定款作成の前に考えておくとよいでしょう。
また、定款をいざつくろうと思っても、どのように書けばよいか分からないこともあるかと思います。
そのようなときには、インターネット上で「定款 雛型」などと検索すれば、サンプルが出てくるので、少し参考にしてみるのもいいかもしれません。